作品への評価と批判


たまたま見かけて惹き込まれてしまったNHKBSでの川久保玲さんを取り上げた番組がありました。平成14年の再放送ですからもう6年も前の作品なのに、メディア露出が極端に少ない川久保玲さんのことですから、パリコレに出てくるようなファッションにはとんと興味のない私でも見ごたえ充分でした。


各年代の作品とそれが産み出される過程までが紹介されています。


「すべては作品が語ってくれればいい」と自分の作品に対して言葉で語ることも、アグレッシイブな作品への批判にも答えることがなかった川久保さんの一貫した態度は見事としか言いようがありません。映像でも望遠でとらえた川久保さんのほんの少々の絵と、本人が映らないところでの言葉少ない断片が語られるだけです。川久保さんが映らなくても、ラガーフェルドがダナ・キャランがゴルティエが最上級の絶賛の言葉で川久保さんを語ってくれるのです。物を想像するクリエーターとしてのあり方の一つのあるべき姿をここに見ることが出来るような思いで映像を見つめていました。




一方で・・・・と対比していいものかどうか迷うのでもありますが。。。。


平城京遷都1300年」を記念する事業のマスコットとして話題になっているキャラクターをご存知の方も多いと思います。デザインをされたのは東京芸大大学院教授の籔内佐斗司さん。好き嫌い良し悪しでnet上でもありがちな批判が相次いでいることは聞いていたのですが、それに対して薮内さん本人が丁寧に答えていることを知りました。


特に顔が見えない、素性が明らかでない人々のnet上での批判への対応は基本的に無視しかありえないと思っていた私には、薮内さんの一言一言は驚きです。川久保さんへの批判は顔の見えるファッション評論家であり、新聞雑誌の大きなメディアであったことを考えると「薮内さんそんなにしなくても・・・」と思いつつも、自分が生んだ作品への真摯な態度に打たれるものがあります。


次元が違うとはいえ、同じ物を作って人様にお出ししている身としては、二人の姿に思うところ大なのであります。