お節仕込み

clementia2007-12-27



写真は千社唐(ちしゃとう)です。お節料理の定番。


とはいっても、「ものすごく美味しい」というほどのものではありません。彩りのための一品です。


料理の見栄えには彩りがとても大切です。緑、赤、黄色、黒、白・・・様々な色が交じり合って華やかさが生まれるのです。中でも緑は必要不可欠な色。しかし、青菜の類は一日たつと色が落ちて茶色くなって「入れなければよかった」と思うほどくすんだ色に変化してしまいます。


正月三が日は味だけでなく彩りも落ちないことを目的にするお節料理の緑色には、この時期の千社唐が最適なのです。厚い皮を剥いて湯通しし、西京味噌漬けにします。鮮やかな緑色は三日間落ちることがありません。味云々ではなく、見た目のためだけでも必ず用意しなくてはいけない品物なんですね。


500本を剥くのに二人で約一時間半。ちょっとした積み重ねを続けてできるふつーーーのお節料理。真っ当な手間をかける普通がなくなりつつある今、あくまで普通に拘泥していきたいと思います。