引退はいつ?


根が自堕落で、できることなら何もしないでダラダラ生きていたいと思う方なので、生活のめどさえ付けばできるだけ早い引退を若い頃から考えていました。ところが、先輩である団塊の世代の方々の退職を間近に見るようになると引退の寂しさも充分理解できるようになって、近頃では「生涯現役も悪くないかな?」などと真逆なことを思うようになってきました。


なにしろこの商売、本人の意思さえしっかりしてれば、ずっと現役にしがみつくことも可能な仕事です。老いの集落もタップリ見ている身としては、皆から見放されるような仕事を認識なくダラダラ続けるのは「恥」以外の何者でもないわけですが、実を言うとこの年になってもまだ料理が上手くなる可能性があるのではないかと、勘違いかもしれないのですが心の片隅で考えているのも事実です。30代40代の頃には50をす過ぎれば仕事が守りに入り、60を過ぎると世の中の傾向が見えなくなって年寄りの寂しい仕事に自らが気づかなくなるに違いないと思っていたのでした。ところが、いざその年代になってみるとまた違う自分に気づき始めたのです。


小さな小さな料理店ではあるのですが、常に10人前後のスタッフで仕事をしてきたわけで、そろそろもっとずっと小さな規模で自分の満足がいく仕事をして見ることに憧れを感じ始めています。最初から最後まで自分の手だけで料理したものを、目の前でお客様に召し上がっていただけるキャパシティ。体力と採算のバランスが取れれば、できうる最小の規模での仕事、可能でしょうか?