襲名


新聞を眺めていると「柳家小さん 六代目襲名披露会 ○月○日 ○○文化センター」という広告が目に付きました。


「ああ、三語楼さんが六代目を襲名するんだぁ」


小さんさんにも三語楼さんにもあまり興味のない私には、「へーー、そうなんだ、大変だねぇ。人間国宝の父親、大名跡の小さんを継ぐって」という程度の「へーー」であります。


田舎町にやってくる興行でも、本人の小さんさんよりも有名な甥っ子(五代目小さんの孫)花禄と師匠でもある落語協会会長鈴々舎馬風も加わる襲名らしい豪華な顔ぶれなんであります。



先だって大々的な襲名披露をメディアで取り上げ続けられた正蔵(元こぶ平)に比べると、小さんの名跡は現代人にはずっと馴染みがあるというのに「小さん襲名」しかも実の長男なのに、メディアには見向きもされていない感があります。この差ってなんなんでしょうねぇ。三語楼さんに花がないってだけのお話?TVで有名かどうかだけが大切ってお話?



襲名というのとは違いますが、我々の業界でも代替わりの際に先代の名前に負けてしまいそうなプレッシャーと戦う苦労をよく聞きます。先代が高名で優秀であればあるほど、継ぐものは苦労するもので、普通の代替わりでさえ往々にして「味が落ちた」など簡単に噂する人々はごまんといます。幸い、能天気な私なんぞは、きっとたくさん「味が落ちた」と言われたのでしょうが、のほほんと我が道をいったおかげで代替わりに苦労することがありませんでした。


人間国宝の後を継ぐ・・・・比べものにならないくらい大変なんでしょうねぇ。