浸る


遅まきながら三島由紀夫がやっと読めるように(理解できるのではなくて読むのに悦楽を感じというほどの)なったとつい最近書いたばかりでした。


先日小津安二郎の「晩春」をDVDで見て、これもやっと見ることが出来るようになったのでありました。周防正行監督が「小津作品は浸る映画である」というようなことをとあるインタビューで言っているのを聞いて、「なるほど、そういうものか」と見てみると確かに「浸る」という感覚でぬるま湯に浸かるように見ていると実に心地がいいのです。


しかし、終戦直後の中流の上といった日本家庭模様が実際興味深くもあります。


そういえば、中年以上の女性の着物の着こなしはあんな感じであったなぁ・・・とか。


卓袱台で食事を食べる時、案外猫背が当たり前で、「背筋を伸ばして食べなさい」なんてのは椅子とテーブルになってからだったんだなぁ・・・とか。


あの原節子だって家庭では横すわりでたべているのだなぁ・・・とか(役柄でだけど)


様々なつまんないことに感慨深くなっていたりします。


BSで見た今村昌平監督を追悼する番組でのマーティン・スコセッシのインタービューを見るうちに、未見の今村作品にも興味がわいてきて、日本映画がマイブームになるかもしれません。