メセニー・メルドー


一気に手に入れようと思っていたジャズ・ピアニスト ブラッド・メルドーのアルバムは、この一枚を聴いただけで、ゆっくりじっくり味あわなくてはならないことを思い知りました。





最近、音楽を聴くのはもっぱらウオーキングの最中です。CDをMP3に落とし込み、深夜歩きながらの音楽はとても集中できます。とはいえ、予定の距離を歩き終えれば、MP3のスイッチを切ってウオーキングとリスニングの時間は同時に終るのが常なのですが、このアルバムを初めて聴き始めた日は違いました。途中でアルバムを聴き終えてしまうのが惜しくて、自宅に戻っても着替えもせずにそのままソファに座り込み目を閉じて、メセニー〜メルドーの紡ぎだす音に聴き入ってしまいました。


これまで長い間音楽を聴き続けてきて、新譜のLPに針、CDのスイッチを入れたその瞬間に雷に打たれたように感動の渦に巻き込まれるようなアルバムに出会えることは3〜5年に一回くらいといっていいでしょう。マイルス・デイビスの「ビッチェス・ブリュー」、チック・コリアの「ナウ・ヒー・シングス ナウ・ヒー・ソブス」、キース・ジャレットの「ザ・メロディー・アット・ナイト・ウィズ・ユー」、ジャコ・パストリアスの「ワード・オブ・マウス」 音楽の歴史の一ページが開かれる瞬間に出会えたような感動がそこにありました。


「メセニー・メルドー」はそういうアルバムです。


二人の音は限りなく混ざり合い、純化し、発展しています。