間宮兄弟


休日に見逃していた映画「間宮兄弟」を家族で観ていました。


森田芳光監督の佳作です。


映画も終わりに近づいた頃、家族ゆえにちょっと自慢話をしました。「森田監督の奥さんって大学の時のバンドの先輩なんだよねぇ。たぶんこの映画でもプロデューサーやってるんじゃないかなぁ」と。考えてみれば自慢でもなんでもなくて、ただ先輩というだけのお話です。


大学時代に所属していたビックバンドで、私が入学したばかりの頃4年生でピアノを弾いていたのが彼女です。当時一年生からみれば四年生は神様のような存在。当時の四年生は学生バンド界のスターばかりでしたから、新入生はひたすら憧れの目で仰ぎ見る天上人でした。先輩といったって声を交わしたことさえありません。


「へえーーー。なんていう人」
「あけみさん。三沢あけみさんだけど、森田あけみで出てるのかなぁ」
三沢あけみぃ?」



映画が終り、エンドロールが流れると


「プロデューサー 三沢和子」と現れました。


「三沢和子さんじゃぁない。何が三沢あけみよ。演歌歌手じゃぁあるまいし」


といわれたところでハタと思い出しました。バンドマンのシャレで、あの頃三沢和子さんを三沢あけみと呼び変え、三沢も除いてメンバー全員が「あけみさん」「あけみさん」と呼んでいたのでした。そのいきさつも聞いていたのに「三沢和子さん」は私の記憶にはただの「あけみさん」であったのです。


同じようにあけみさんの後を継いだピアニストは「けいこさん」、本名「関根みどり」さんが「関根恵子」(現高橋恵子)へ、関根はなくなって「けいこ」さんでありました。たぶん今お二人のお会いしても「あけみさん」「けいこさん」と普通に呼んでしまうでしょう。


かく言う私も、本名とは似ても似つかぬjazz版ニックネームがあります(恥ずかしくていえませんが) 音楽仲間の間では未だにその名前で通っています。もしかすると本名を覚えていない人もいるかもね。