活け魚料理
私が修行をしていた30年近く前は、「活け魚料理」に人気が集まり始めた頃でした。カウンター割烹は日本中にいきわたり、多くの店が水槽を置いて活き身の魚を食べさていました。さっきまで活きていた魚は当然新鮮で美味しい・・・と。
あれから何年位してからでしょうか、多くの活き身の魚よりも、活き〆してから時間を経て魚本来の旨みが増してくるのだという認識が当たり前になってきたのは。
もちろん、私ン処の水槽はお客様の目を避けるように調理場の片隅、一番薄暗い魚にストレスを与えないところに置かれていて、お客様に「ほら、こんなに新鮮な魚を使っています」とお見せすることはありません。魚自体、お客様のご来店時に活け〆にすることはありえませんし、調理をする魚も魚屋さんのように氷の上に並べてお見せするようなプレゼンテーションはありえません。お客様のために調理する魚は、その日の午前中に下処理を済ませてあったり、前日に処理して熟成させて初めて納得いく状態になっています。
先日、某有名ホテルのコンシェルジュからの電話で「お客様のご要望なんですが、活け魚を食べされてくれるようなことはしていますか?」とお尋ねがありました。
確かに日本料理店ですから、魚の鮮度には注意をしているつもりではあるのですが、きっと水槽から揚げたての魚の調理を期待しているのであろうなぁと、お断りをしました。
日本人の新鮮信奉はいつまでたっても廃れることはないのでしょうねぇ。
釣りたての魚は絶対に美味しい(処理の如何に関係なく)
漁港の側にある料理屋は新鮮な魚(養殖は使わない)を必ず使っている。
海沿いにある魚屋の干物は(冷凍鯵の開きでも)鮮度がいいに違いない。
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