「チョコレート・コスモス」〜「殺人の門」


読み終えてしまうのが惜しいほど面白い物語というのがあります。寝る間を惜しんでも読み進みたいのに、終ってしまって欲しくないのです。


久しぶりにそういう小説を読んでいました。恩田陸「チョコレート・コスモス」 確か恩田陸さんの面白さを教えていただいたのはこのサイトの掲示板上でのことでした。



「幼い時から舞台に立ち、多大な人気と評価を手にしている若きベテラン女優と、旗揚げもしていない無名の学生劇団に入ったひとりの少女、経験などひとつもない彼女のその天才的な演技が、次第に周囲を圧倒してゆく」





漫画ファンなら誰もが「ガラスの仮面」と同じジャンと思うのしょうが(私もどれほど違うか確かめようという気持ちがタップリでした) 小説の面白さと緻密さは漫画の領域とは全く違いますし、たとえ「ガラスの仮面」に恩田さんがインスパイヤーされた事実があったとしても、二つは全く別の作品で別の面白さに満ちています。自動的に昼寝の時間に眠くなる私が、「今日は昼寝なしで読み進みたい、夜の寝不足もかまわない」と思わせてしまう作品でありました。ジェットーコースター・ムーヴィーに勝る小説ということです、私的には。


土曜日の夜に「チョコレート・コスモス」を読み終え、日曜日は文庫になった東野圭吾「殺人の門」 粗忽モンの私は、仕事の合間にあわてて「殺人の門」を購入していたのをすっかり忘れて、土曜日の夕方に再び同じ文庫を買ってしまいました。

さらに粗忽どころか、恍惚の人となりつつある私は、本を読み進むうちに「あれ?これ読んでる」と気づいたのですが(単行本でお客様にいただいて読んでいたのです<アホです)東野圭吾の素晴らしさは、一度よんでいても二度でも三度でも惹きつける文章です。そのまま一日で読み終えてしまいました。「白夜行」「手紙」「容疑者X」「秘密」あたりでしたら何回でも読むに耐えますからね・・・と自分に言い訳しつつも楽しい時間でありました。