ビールの行方


第三のビールへの増税が決まったことを受け、景気も回復基調にあることも踏まえて、ビールの高級化が進みつつあるのだそうです。こうなると、一社のお話ではなくて大概すべての会社が右へならえとばかりに、同じ価格帯のビールで競争します。


各ビール会社の営業さんは店に顔を出してくれては、「今度の新製品は・・・」と紹介してくれるのですが、この数年の「安い」「お手ごろ」にヘキヘキしている私は、「これしかない!っていう美味しいビールは造らないの?少々お高くても個性的で美味しいビールならすぐに飛びつくんだけどなぁ」と言い続けてきたのでした。


まっ、街の小さな小さな料理店の提言がお偉い方々に通じるはずもなく、ビール会社は相変わらずの経済状況に根ざした新製品戦略を立ててくるのです。


少し上向き始めたといわれる経済の中で美味しいビールを競って造ってくれるのは個人的には大変ありがたいことなのですが、少なくとも「もの造り(飲食)」に携わる人々が経済効率と、利益だけを目的にしていていいのだろうか?と思うことがあります。日本のビール会社の作るビールは儲かることだけを求めたビールばかりです。「美味しいものを造りたい」という欲求はどこへいってしまったのでしょう。利益の上がるものだけを造っていることに疑問を感じることはないのでしょうか。税金の厚い壁にめげずに発泡酒第三のビールを次々と作り上げてきた高い能力と想像力をもってすれば、値段に関係なく美味しいビールを造る技術力は充分に持っているのではないかと思うのですが、現れてくるビールは「値段に関係なくともかく美味しい」ではなくて、「消費者の心を少々くすぐる程度に高くてそこそこ美味しいビール」でしかありません。


彼らはもの造りの誇りを捨ててしまっているのか?日本酒の世界、ワインの世界にはもの造りの誇りを持った方がたくさんいらっしゃるというのに。