モンドヴィーノ


お得意様に「是非見てください」と教えていただた映画「モンドヴィーノ」


地方都市では当然のように上映されず、DVDの発売を待っていたのですが、レンタル屋さんの片隅にポツンと置かれているのを発見して早速見ました。


映画は世界のワイン事情のドキュメンタリーです。「フライング・ワインメーカー」と呼ばれ、世界各国でワインのコンサルティングをするミシェル・ロランテロワールの個性よりも醸造技術で圧倒します。ワインをビジネスとして成功させたカリフォルニアのモンダヴィー一族は、ムートンとのジョイントで「オパース・ワン」をフレスコヴァルディとのジョイントで「ルーチェ」を、さらにワインのグローバリゼーション化に走ろうとします。


一方、ラングドックの名人エメ・ギベールモンダヴィー一族の地元への進出に反対し、ワインの「ブランド化」「グローバリゼーション化」否定的です。ブルゴーニュのモンティーユ家はテロワールに根ざしたワインを昔と変わらず造り続けることに固執し、すぐ飲める濃縮した果実実たっぷりのワインよりは20年熟成して本領を発揮するワインを造り続けます。


さらにイタリア、アンティノーリー家とフレスコヴァルディ家、ボルドーのシンデレラワインとして知られるヴァランドローのジャン・リュック・チュヌバン、イギリス、クリスティーズのマスター・オブ・ワイン マイケル・ブロードベント。そして真打ロバート・パーカー・Jr.などなど、ワイン好きにはたまらない面々のインタビューのみで構成され、グローバリゼーション化するワインとテロワール固執するワインの対比だけでなく、町長選挙や家と家との確執、家族の絆と先代と若手のやり取りまでさまざまな人間模様を鮮やかに切り取ってくれます。


映画を見て心情的にはすぐ飲めて濃くわかりやすいワイン、醸造技術で画一化するワインよりも、農民が地に根ざしたテロワールを感じさせるワインに軍配を上げたくなるのが人情なのですが、ミシェル・ロランの造るワインも、モンダヴィーのワインも、グローバル化するジョイントワインも残念ながら(?)めっぽう美味いという実感があるだけに、基本はみんながそれぞれに美味しいワインを作ってくれればうれしいな・・・と小学生のような感想を持つだけだったりします。ミッシェル・ロランのボン・パスチュール1997は早い時期から濃縮した美味さが際立ち(1997なのに) モンダヴィー オーパス・ワン1988 1995 1996、モンダヴィー カベルネ1995もフランスワインに対抗できるどころか、格付けクラス上位の味わいでしからねぇ。


象徴的なのは、映画ではグローバリゼーション化を推し進めることを強調してたモンダヴィー一族が、その後の役員会で会社から手を引いてしまったという事実。


ワインの映画としては「サイド・ウェイ」以来の名作といって間違いないのですが、それぞれのワイナリーに飼われている犬たちの映像と、頑固な年寄りたちがかぶるハンチングも印象的ではありました。