わからんちん


もうずいぶん昔のお話です。


ネット上には素人グルメ評論のようなものはたくさんあります。私が長い間読みつづけているサイトには素晴らしい内容のものもあるのですが、中には「?」がたくさんつくような内容のものも少なからずあります。


以前に酷評とまではいかないまでも、決して好意的ではない評論を私の店に対して載せているグルメサイトを見つけたことがあります。一日の客数が限られている私ン処のような小さな店では、書いたのがどの客であるかはたどっていけば大概わかります。どの部屋でどんな献立、何を飲んで器は何を使って・・・・という基本線はすべて記録に残してありますし、記憶に残る方であれば会話の中身まで覚えているものです。


その日は京都産の賀茂茄子(京都伝統野菜研究会)、気田川の天然鮎(たぶんその年でも最上の鮎)、一味鯛(遠州灘産)などなど他様(ほかさま)に決してひけをとらない食材と使っていますし、現にほかの部屋のお得意様たちの評判は上々でもありました(もちろん当日他の部屋のデータも確認できます)お部屋はこじんまりしたお部屋しか空いていなくて、その了解もとってはありましたし、某企業(世界的な)の会長、社長などはその部屋が一番落ち着くとおっしゃるくらいです。使っているテーブルもその部屋は輪島の螺鈿。お酒の注文に至っては、白ワインのグラスを(普段はグラス売りをしていません)たまたま試飲したいワインを開けてグラスで召し上がっていただきました。ギイ・アミオのサシャーニュ・モンラッシャエ レ・カイユレ 1996。グラスで¥1500というのは原価以下です。


お部屋での料理の説明やワインのお話も決して押し付けがましいものではなかった覚えがありますし、お客様の嫌な顔も感じられなかったように思うのですが、「バツ」です。近所の定食屋さんには二つ☆で私ン処は☆ひとつ。ほとんど屈辱的といってもいい内容でした。



わかんない人には何をどれだけやってもわかんないのです。料理店からすればこの内容が理解できないことをネットで公表する事自体恥さらしだと思うのです。さらにはそのときこのサイトは役所の公のあるサイトからリンクされていました(いまではその類の記事は削除され,リンクもされていません)税金で作られたサイトから簡単に批判文章の多い素人グルメサイトへ飛べたのです。


その当時は冷静に対処したつもりでしたが、やりきれませんでした。



何をどう書こうが勝手ですが、批判的であればあるだけその内容が的外れであったときには自らの恥でもあるのです。


数年たった今でもお客様にこんな愚痴をいってしまういうのは料理屋としては本末転倒ではあるのですが、今思い出しても怒りに震えてしまう経験でした。封印しておこうかと思っていたのですが書いてしまった。料理屋にだって言わせていほしい。