純粋ビール


昼下がりのマーケット、連れ合いのお供でぶらぶら店内を巡っているとビール棚には各種ビール、発泡酒などなどが数々並んでいます。もう名前とメーカーは全く一致しないほどの種類です。


手にとって眺めると発泡酒には「大豆ペプチド」とか「糖類」なんていうこれまでのビールではお目にかからなかった原材料もたくさん含まれていて、「ああ、こういうののおかげで安くてビールに似た味を毎日楽しむ事ができるのだなぁ」と納得したりするのですが、試しに本格(?)ビールも眺めてみると、ほとんどのビールが「麦芽とホップ」だけでなくて「米」「コンスターチ」が混ざっているのでした。そのマーケットに並んだビールの中で「麦芽とホップ」だけなのはえびすビールとモルツだけ。キリンの各種もアサヒの各種もサッポロの各種も米、コーンスターチのどちらかが入っているのでした。


知りませんでした。ついでのことで調べてみると、米は丸み、コーンスターチは軽やかさを出すための大事な原料なのだそうです。日本のメーカー各社が大事にする日本人向けの味わいはいわば混ぜ物のおかげで成り立っているのです。


「苦味とコクはキリンのラガーだ」とか「切れ味はスーパーだドライだ」とかいう「こだわり」の元はこうしてみると、純粋主義が大好きな日本人にはうやむやにしたい事柄になるのかもしれません。


私など添加物ならともかく危険なものが入っていなければ美味しさが最重要と考えるほうですので、「米」でも「コーンスターチ」でも全くかまいません。第一、米やコンスターチの味を味わい分けられるわけがありません。切れ味をますために数パーセントのアルコールを添加しただけで「純米でない酒はダメだ」という純米酒至上主義者や、亜硫酸塩(酸化防止剤)を目の敵にしたり防腐剤と勘違いするようなワイン好きがたくさんいるこの国の酒飲みたちは、不思議な事に「ビールは麦芽とホップ以外が入っているのはまがい物である」という声を発しているのをあまり聞いたことがありません。


これはこれで不思議。ビールって「こだわり」には入らなくて「とりあえず」ってことなんでしょうかぁ?