新鮮海の幸


海辺の温泉地に泊まりに出かけて、夕食に期待するものはなんでしょう?


当然新鮮な海の幸?


伊勢海老、鮑、サザエのつぼ焼き、金目鯛の煮付け?・・・・なんでしょうか。




先日TVでやっていたお決まりの旅番組、伊豆のそこそこの値段の旅館が取り上げられていました。出てくる料理は期待通りに船盛にしたお造りの数々「伊勢海老の洗い(姿作り)」「鮑(殻に盛ったお刺身)」「鯛」「平目」自分で摩り下ろす本山葵。「金目鯛の煮付け」「南瓜、独活、鴨の煮物」「筍ご飯」


お客様の期待を裏切らない海の幸。旅館の経営側はお客様の期待を裏切らない事は鉄則です。お客様にしてもそんな時でなければ伊勢海老や鮑は食べられないかもしれませんね。


とはいえ、調理場にしてみると「旬(シュン)はどこ?」伊勢海老と鮑、鯛と平目、南京と独活に筍・・・・季節はバラバラです。「伊勢海老と鮑、白身のお造りは必ず入れてください」といわれればその通りにしなくてはいけないのでしょうし、正直、考えなくてもいい献立はラクチンなのかもしれませんが、真っ当な料理人にとっては精神的に苦痛かもしれません。


とりあえずあればいい、という程度の鮑や時期はずれの白身は美味しいものではありません。


お客様が期待するものと経営側の利益、職人の納得する料理の間には大きな溝がある場合が多いのですね。TV旅番組をみているとつい職人の側になって「気の毒な・・・」と同情してしまうのです。