私ン処だけ

clementia2005-04-20

「限定」「レアもの」「私ン処だけ」ってのが大好きです。単純にそのほうが傑出しているからなのですが。


「お前ン処はそんなのしか置いてないの?普通のヤツはないの?普通のでいいんだけど」とよく笑われます。


食材は当然、その日のこの一本だけ・・・みたいな魚を、魚屋さんのほうですでに横のほうに取り置いてくれますし、野菜も同様です。食材屋さんが私の性癖をよく知ってくれているのですね。


器屋さんも「この地域でこの辺の器を買ってくれるのはお宅だけです」といいます。欲しいなぁと思う器がそうなんですから仕方ありません。


京都 松栄堂さんのお香を玄関で焚くのは「千花さん」で教えていただいてから、たぶん田舎町でたくさんの料理店は使っていないはず。



お酒はその際たるものかもしれません。その辺で売っている品物は個人で買われて自宅で飲んだほうが遥かに安く済みます。「近所のあの料理店でも置いている」も「○○デパートで売っていた」も、そうわかっただけで置くのを止めてしまいたくなります。高いお足を払っていただいて来店してくださるのは、素人のレベルでは味わえないものを堪能していただくためです。


たぶん、私ン処でだれでもどこでも飲めるのは、唯一置いてある国産瓶ビールエビスだけ・・・・だと思うのですが・・・・別に自慢することではなくて、自然にそうなっていっただけのことです。




で、
「私ン処だけ」の極めつけ。地元「花の舞酒造」さんの全国新酒鑑評会出品酒、荒走りおりがらみを昨日頂戴しました。タンクから最初に絞られたお酒、うっすらと澱でにごっています。


まだ審査員も飲んでいないお酒の荒走りおりがらみは、香りが華やかで、出来立ての新酒のアタックが心地いいお酒です。市販もされませんし、ほかへ流通するお酒ではありません。


先日「今年も出品酒の酒粕を持ってきました」と寄って下さった花の舞さんに「荒走りだったらもういけますか?ちょっとだけ土田杜氏に言って分けてもらえませんか?」と無理をお願いして4合瓶に数本だけ頂戴しました。新聞紙で包んだだけの無骨ですが繊細な逸品です。


地元のお酒、土田杜氏渾身の一本の最初の一滴を、誰よりも先に私ン処で召し上がっていただけるのは店の誇りです。