予約編

マナーを気にするような店は、多くの場合予約が必要、もしくはあったほうがいいものです。私自身初めて伺う店では、焼き鳥屋さんでも予約の電話をします。目安としては一人5000円以上を払う時。一万円以上であるならば前日までには必ず予約の電話をします。いい席を期待するとき、よりよいサービスを得るためには予約の電話はあったほうがいいと思います。予約の際には「日時」「人数」を明確に伝えます。もし初めての店であれば、迷わず予算のことやメニューについても聞くべきです。


「初めて伺うのですが、おおよその予算の目安を教えて頂けますか?」
「この時期はどんなものがお奨めでしょう」
「コース料理ですか?一品料理ですか?」
「あらかじめコースを決めておいたほうがいいですか?」


たとえお寿司屋さんでもおおよその予算は聞けば必ず教えてくれます。財布の中身に不安を抱きながら落ち着かない食事をするよりはずっと正しい料理店の使い方です。料理店の側からしても初めてお越しいただくお客様がリピーターになってくれるためには、予算は大きなファクターであることをよくわかっています。「高い!二度とくるもんか」と思われるよりは「思った通りの予算でよかった。また来よう」と思っていただくほうがいいに決まっています。


また、コース料理だけの店では、食べられない食材があればこれも必ず伝えておきます。


「蕎麦はアレルギーで食べられません」
「牡蠣は苦手です」
「生ものは避けていただけるとありがたいです」


苦労してそろえた食材が当日食べられないとわかると調理場では献立の組み立てさらに苦労します。さらにアレルギーを知らずにお出しして慌てるのは料理店としては絶対避けたいことです。蕎麦アレルギーなど、ほんの少量のそば粉を混ぜただけでも発疹することがあって冷や汗をかいたこともあります。


さらに、一見の店で紹介者がいるようでしたらそれを伝えることも大事です。以前にも書きましたが、あるフレンチの高名なシェフが「フランスへ行くときには必ず言ってください。知っている店には連絡をいれますから。全然違ってきますよ」と言ってくれたことがあります。大事なお客様の紹介であれば当然です。以前に足を運んだことのある店でしたら、「○月に伺った○○ですが」と伝えることも有効です。いい店であればそのときのデータを確認するはずです。


たまに秘密主義なのか、会社の接待で使うのに個人名で予約をいれたり、接待先を明かさない方がいらっしゃったりします。来店時にはわかること、領収書を書くときには知らせなくてはいけないことを秘密にしていると、かえってバッティングしてはいけないお客様がいてもお知らせできなかったり、接待先のお客様がお見えになって急に献立をいじりまわさなくはならなくなったりと、いいことは全くありません。料理屋にはすべてを託すつもり・・・くらいがいい感じ。というわけで、予約を正しく入れ、情報をきちんとつたえることがお客様にも店にもとてもたいせつなことなのです。これってマナー以前も問題かもしれません。