プイイ・フュッセ

プイイ・フュッセというとブルゴーニュ マコン地区、話題のボージョレのすぐ北にある場所です。生産されるほとんどは白ワインで、もう少し北にあるピリニー、シャサーニュ・モンラッシェのように世界中のワイナーが狂喜するほどの偉大なワインは出来ないものの、それなりにお手ごろで、それなり以上の味のワインが出来る地区です。マコンほど安くなくムルソーよりお得に、というレストランでも注文しやすいワインなのです。


この地区にはいわゆるプルミエ・クリュやグランク・リュという一級・特級畑は存在しなのですが、畑の名前の入ったワインはあります。(ブルゴーニュワインは畑名が記してあるほうが概してより高価でよりいいワインです)


昨日開けたプイイ・フュッセ1996“レ・クロ・デ・ムシュー・ノリー”(ムシュー・ノリーが畑名です)はヴァレットさん作ったのワイン。このヴァレットさんが作るワインはマコンでも「ええ!これがマコン!?」というほど力強い凝縮したワインをなのですが、“レ・クロ・デ・ムシュー・ノリー”は化け物みたいに凄いプイイ・フュッセでした。


テイスティングすると、香りがすでに洋ナシや青いりんごようなの香りではなくてかなり熟した杏のジャムのような香りさえ感じられます。色は黄金色で同じ年代のピリニー・モンラッシェを期待するような色合いです。味わいは濃厚、素晴らしいボリュームでアフター・テイストもプイイ・フュッセの領域を遥かに越えています。ムルソーさえ凌駕しているといって過言ではありません。こんな偉大なプイイ・フュッセもあるのです。実は二年程前に開けた時にはこれほどのポテンシャルを感じることはなかったのですが、化けてしまいました。プイイ・フュッセといえば一般には早飲みワインと言われています。でも、私ン処ではそれなりの熟成を経たプイイ・フュッセを楽しんでいただくようにしているのですが、このクロ・デ・ムシュー・ノリーはさらに別物です。モンラッシェと同等に扱っていいと言えます。


セラーに寝かせて、大事に大事に「いい子に育ってね」と期待するワインがたくさんある中で、あまり期待していなかった子が絶世の美女になっていたというような感じ。もう嫁には出したくない・・・・では商売にならないのですが。