冷凍食品も

TVの番組で、冷凍食品のニチレイが超有名洋食屋「大宮」さんのピラフを商品化する取り組みを放映していました。


半年かけて大宮さんのピラフを冷凍食品化するというのですが、TVお決まりの「挫折、ダメだし、最後の大逆転成功劇」が手短に作られていました。とはいえ、定評のある大宮さんの仕事が、あの厳しいご主人の納得の元で冷凍で再現されているという事実は変わらないわけで、11月1日の日記「コンビニ恐るべし」書いたことと同様に、大企業は冷凍食品の分野でも職人の技術を数値化、規格化し手に入れつつあるのです。


一昨日日記で、「真っ当な職人が真っ当な食材で作った一皿は決して私がまねできるものではありませんが、利益率や経済効率、利便性や規格化が見えるような一皿は、今のところ、同じものを自分で作ったほうが間違いなく美味しいということです」と書いたばかりですが、「今のところ」と書いたのは、大企業の取り組みはいつか半端な職人を超える時代がやってくるかもしれないという危惧を充分感じているからです。


中途半端な老舗が大衆受けをねらって安価な品物を作り始め(デパートの催事場にあるような)、味まで落としてしまう可能性があるのに反比例して、大企業がマネができないと言われる職人仕事を再現するノウハウを手に入れつつある現実。老舗の下降線と外食産業大手の上昇線がいつか交差して逆転してしまうかもしれません。


押しなべて大企業が絶対に再現できないほどの職人仕事というのはそうたくさんはありません。手間隙をかけるとか、微妙な匙加減ということさえ、大げさに職人が語るだけで実際には超人的な技術ではない場合も多いのです。


職人の生き残る道は?・・・・大企業が常に注目し、盗もうとするような仕事を身に付け、追い求めていく向上心がなければ廃業となる時代がきっとやってきます。


私自身、今使っているような素材は大企業が大量に仕入れ生産ラインに乗せられるような品物ではないと考えているのですが、ユニクロがカシミアやダウンを安価に販売するような時代がやってくるとは思わなかった20年前を考えると、今の自分自身の自信さえ根拠のないもののように思えるのです。


そういう危機意識を持つかどうかが大事なことです。