ありゃ?

この二年くらい注目していたある日本酒蔵の純米大吟醸をいただいてみると・・・・


「ありゃ?」


いやいやそんなはずはない、自分の舌がどうかしたに違いない。


と、口をすすいだり、スマリングしたり、しばらく置いたりしてもやっぱり一昨年昨年のような際立った香りとふくよかさ後味の切れが今ひとつ。


こんなこともあるのですね。


鑑評会出品酒には年年による冒険が感じられることがままあるのですが、毎年同じ値段で商品化される品物は安定しているものです。お客様の「今年の○○は味が落ちた」などという言葉にむきになって「そんなことはありません。私などそれほどの変化は感じられません」と強調してきたのですが、これは言葉少なに肯定するしかありません。


酵母という生き物を扱う日本酒の難しさです。アルコールを添加して製品を安定化し、安全な品物を作ろうとする蔵の姿勢も理解できます。淡麗で辛口が安全にできて、消費者が簡単に納得してしまうお酒ならそちらに走るのほうが楽チンです。


こうしてみると、長い間安定して高レベルのお酒を造り続けている名杜氏といわれる方々の仕事がいかに素晴らしいかも理解できます。


注目してきた蔵です。少々のことでは私のほうもめげません。来年こそさらに美味しいお酒ができるに違いないと長い目で見ることにします。厳しい評価と暖かい目で見つめましょう。