21グラム


映画「21グラム」


心臓移植をする(たぶん)大学の教授、夫と子供二人と穏やかな生活をおくる夫人、様々な前科を持ちながら信仰によりどころを見つけようとする男性。三人の物語が切り取られ、ばらばらにされ、時系列もシャッフルされて進められるのですが、一つの事故を契機に三人が結び付けられていきます。


信仰によって立ち直った男が、一瞬の自動車事故で夫と幼い子供二人をひき殺してしまう。亡くなった夫の心臓は、移植を待つ大学教授のもとへ、しかし彼も夫人との離婚の危機をはらんでいる。心臓を移植された教授はどうしてもドナーの家族を知りたくなり、探し当てた夫人と恋に落ちる。家族を一度に失い失意の夫人は加害者を恨み、恋に落ちた二人は。。。。


暗い画面、ざらついた映像が不安感をあおり、ぶつ切りにされ、物語が前後する映像が話を見えにくくしているのですが、それがかえって臨場感を生み、単調なはずのお話に厚みを加えています。作品の重心をただの「物語」から「登場人物の内面」へ移しているのは監督の独特の手法によるものです。


この地では夜の一回のみの上映、しかも観客は我々夫婦を含めて5人。でもアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、一度聞いても覚えられない名前のこの監督、間違いなく注目株です。