掃除


個人的には掃除はあまり好きではありません。


調理場の掃除はは仕事だからする・・・・というのか、身についてしまったからしている・・・・という感じです。


若い頃、特に修行したてに教えられたことというのは不思議と体に染み付くものなのです。最初に入った店が掃除にいい加減ですと、一生掃除をしなくても平気な職人が出来上がってしまうことがよくあります。不思議です。


昨日は久しぶりに時間のゆとりがあったものですから、半日調理場の掃除をしていました。このところ忙しくておろそかになっている部分がたくさんありましたから。


調理場内は壁も天井もすべてステンレス張り、掃除はしやすくなっています。ステンレスの掃除のコツははひたすら拭き続けること。特別に強力な洗剤で汚れをふき取った後、水拭きを最低4回は重ねます。水拭きが1回や2回ですと曇りが出てしまいます。


調理場が見える料理屋さんのステンレスが曇っていると、仕事振りが少し不安になります。ピッカピカの店なら80%くらいは味の保障がされているような気がするものです。


もう30年近く通っているトンカツ屋さんでは客席の壁紙はすこしすすけてきているのに、調理場はいついってもステンレスがピッカピカです。それと比例するようにご主人の仕事はとても丁寧で変わることがありません。油を頻繁に使う店で掃除がしっかり行き届いているのは立派なことです。


中華料理の職人さんが私ン処の調理場に集まったとき、「日本料理の調理場は中華と違って水をたくさんつかうようにできているのが印象的です」とおっしゃったことがあります。中華の油に対して、和食の水・・・・というのは掃除のし易さにも大きく関わってくるのですね、きっと。