ワールドクラス


松井やイチローの大リーグでのめざましい活躍は、彼らがワールドクラスであることを証明してくれました。


スポーツの世界で世界レベルで活躍する選手が出てきてくれるのはなんともワクワク嬉しいものです。


一方音楽の世界ではどうでしょう?


クラシックの世界ではチャイコフスキー・コンクールショパン・コンクールで優秀な成績を収める優秀な若者が次々に出てきて、世界的なオーケストラのメンバーになる日本人が何人かいても、真に今ワールドクラスだと誰もが認めるのは小沢政爾だけではないでしょうか。


ポップスの世界ではもちろん誰一人世界で活躍できるミュージシャンはいません。期待を感じさせることさえ微塵もありません。


ジャズの世界では・・・・・一人ビッグバンドリーダー〜コンポーザーとしての秋吉敏子さんがいるくらいです。渡辺貞夫さんは?日野皓正さんは?・・・・といってもワールドクラスで認められるミュージシャンではありません。


超一流のアメリカのジャズミュージシャンを知ってしまうと、ワールドクラスと日本人とのレベルの差の大きさは埋めることはできないものだと未だに感じます。


ですから、最近メディアが騒いでいる「天才」ともてはやされる高校生のピアニストなどを見ても、私自身はちっとも動かされることがありません。確かにとっても上手な子で、昔のことを思ったら高校生であれだけ弾ける(ジャズを)というのは凄いことなのですが、残念ながら彼が今後ワールドクラスに成長する可能性があるかといえばちょっと疑問です。多分の彼本人がその事実を一番よく認識していて、「天才」と騒ぐのはメディアだけ、本人はそれ自体をこそばゆく思っているのではないかと思うのです。


が、
ただ一人ワールドクラスに成長する可能性を大いに感じるジャズミュージシャンが一人だけいます。


中川英二郎 トロンボーン吹きです。


16歳の中川英二郎の演奏を聞いたとき、「おお、日本人でもやっとこのクラスが・・・・」とじんわり感動したものです。16歳ですでに彼ほど吹けるトロンボーン吹きは日本にはいませんでいた。今CMなどTVで聞こえるトロンボーンの7割は彼がふいているといわれるほどの売れっ子スタジオミュージシャンでもあります。


ニューヨークを拠点にする彼が「可能性」だけでなく、早く実質的なワールドクラスの活躍をしてくれることを願ってやみません。我々が誇りに思えるミュージシャンになって欲しいものです。


日本人がワールドクラスで活躍できるというのは困難な道なのです。