玉置宏といってピンと来る世代となると・・・・40代以上、「ロッテ歌のアルバム」ったってネット上で話題になることではないかもしれません。


平ッたく言えば、歌謡曲時代の歌の司会者、とでもいえばいいのでしょうか。演歌歌手のイントロ部分に独特の語り口で歌手や歌の内容を紹介する名人で一斉を風靡した人です。


「一週間のご無沙汰でした」で始まる名調子といっても私世代でさえ古臭い・・・・という印象のみが残っていて、「今あの人はどこに」・・・・くらいに思っていました。ところが落語に興味を持ち始めて、たまに車のラジオから聞こえてくる落語番組の「席亭」としての玉置宏さんの語り口と、芸能、特に落語と講談への造詣の深さに惹きこまれました。


滑らかで嫌味のない口調、長年の落語ファンとしての知識の裏づけ。落語以上に玉置さんのナレーションを待ち焦がれてしまうくらいに素晴らしい、それ自体が「芸」と言えるものなのです。


これまで、番組本体よりも解説者やナレーターを評価できることなどありませんでした。


ちょっと前にNHKの談志・爆笑問題の芸能番組に出ていた玉置さんを見て、さらにその思いは深まりました。談志さんと語る玉置さんの言葉は一つ一つがとても耳に心地いいのです。場を心得たその内容もさることながら、語り口の妙とでも言うのでしょうか、書き上げた台本を緻密に読むようによどみない口調とエスプリ、知識や素養が嫌味に感じられない人柄。こんな処にも極めた人がいるのですね。


いまさら「日本語の乱れ」などと私などが嘆くのも変なお話ですが、世間にはびこる若い方々の言葉の乱れを思うと、普通のおしゃべりでも美しく端正な日本語というのは心を穏やかにするものなのだと改めて認識しました。