産地表示


埼玉の人気ラーメン店が具材などの産地を偽って表示していたことが29日分かった。店側は既に表示を撤去したが、埼玉県は景品表示法違反(不当表示)の疑いで調査している。 (時事通信


というニュースを目にしました。


○ ○産豚肉、○○産鶏など稀少な食材を使っていることを店内に表示しながら、店舗展開によって店の数が増えて安定供給が難しくなったのが原因だとか。


私も「こだわり」と称する人気のラーメン店で、○○産天然塩、○○産昆布などなどたくさんの産地表示に驚いたことがあります。このスープに○○産の昆布である必要があるのだろうか?ただの自己満足か、それを表示することによる「こだわりの演出」でしかないのではないかと思ったものです。


他にも、この地でしたら浜名湖産や駿河湾産とメニューに載せることで、魚の鮮度や質の高さを強調する店はたくさんあります。しかしながら、たとえば浜名湖産海の幸ペスカトーレとうたっていても、「浜名湖産は浅利だけで、海老も烏賊も冷凍、ムール貝はたぶんニュージーランド産」などということはよくあります。値段を考えてもすべてを浜名湖産でそろえることは全く無理なことは当然です。


イタリアン一つ取り上げても、渡り蟹のリングイネや赤座海老を舞阪、駿河湾産を使って作れば1000円や2000円の値段では商売になりません。


日本料理店でも「この時期に浜名湖産○○は手に入らないンじゃないの?」とか「この値段で○○産は絶対使えないな」と献立を見ることもあります。


私ン処では毎日従業員全員が確認する各お客様ごとの献立表には、使っている食材の産地をできるだけ詳しく書くようにしています。その情報をお客様にお伝えするかどうかは、お客様の興味の範囲によって様々で、産地までご質問になる方は少ないのですが、なるべく「少々お待ちください聞いてまいります」・・・・がないようにしたいと思っています。


それ以上に単なる演出上の仕掛けとして「○○産」を売りにしないようにしなくてはいけませんね。本来なら使う素材がどこ産であるかは私達仕事をする人間の目安であって、お客様はおいしければどこ産であってもかまわないのかもしれません。「○○産」とうたっただけで美味しそうな気にさせるというのはもっての他。