申しわけありません
「12月の第二金曜日 20名でお部屋がとれますか?」
「はい。ありがとうございます」
「名前は○○○ 電話番号は○○○-○○○○です。時間は19:00からでお願いします」
「はい、かしこまりました。○○○様、お電話○○○-○○○○ですね」
「女性が半分くらいですので、お料理に重点を置いて・・・・・」
と細かいお話をしばらくしてくださった後
「お料理¥5000くらい、飲み放題¥2000、全部で¥7000でおさめて欲しいんですが」
「・・・・申しわけありません。その後予算ですとちょっと無理がございまして・・・・」
「えーーーー!なぁぁんだ、出来ないの?」
第一声で、ちょっと怪しいかな?とわかってしまう事が多いのですが、いきなり「ご予算は?」と聞くわけにはいきません。お客様からたっぷりと詳細をお話して頂いてから、予算の問題でお断りするのはまったく申し訳ないのですが、年末が近づいてくるとこういう電話はかなり多くなります。
どうもこの地には「すべからく料理屋と名のつくところでは¥7000オール込みで飲み食いできる」と思いこんでいる方々がいらっしゃるようです。
いや、材料さえ考えれば絶対無理ということはないのですが、それは私の仕事ではありませんし、忘年会しかも不景気だからといって人数さえ揃えばなんでもあり・・・・・というわけにはいきません。
先日お見え頂いたご夫婦
「結婚記念日なんで一泊旅行でもって言ってたんだけど、休みが取れなくて弁いちのご飯にしたよ」とおっしゃっていただきました。ありがたい事です。
確かに、私どもの予算では「忘年会一泊飲み放題」のお手頃旅館コースも可能です。
でも、いつも自問自答しているのですよ。
これでいいのか?
このお値段を頂戴するだけの仕事をしているのか?
お客様の満足度はお値段に見合っているのか?
お客様が使いやすい値段設定を考えて店造りをするというよりは、まず、自分が美味しいと思う物をやりたい仕事があって、それに値段がついてくるというやり方は、まだ完成されたものではないとしても職人としては限りなく幸せなものです。
それでも、「どうだ、俺の仕事が理解できるか」という自信のスタンスではなく「いかがでしょうか?お口にあいますでしょうか」というおどおどした不安で軟弱な気持ちを大事にしていたいのです。