ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ
月曜日の午前中とはいえ観客四名は辛い。
「ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ」を見に行ってきました。
映画も食事も必ず二人で出かける大事な人が、上映後30分くらいして「この映画こんな調子でずっと続くの?」と聞いてきました。
一度は忘れ去られてしまったようなキューバン・ミュージックの老ミュージシャン達が再び集まり、レコーディング〜コンサートをするというドキュメンタリー・タッチの映画です。
音楽好きには「カッコイイ!」と思う音楽の連続も、興味のない方には眠気の素でしかありません。
しかし、老ミュージシャン達のインタビューと演奏を焦ることなく繰り返していくうちに、彼らの人間そのものが紡ぎ出す音と表情にしだいに惹きこまれています。
少しでも音に敏感な感性を持った人なら、テクニックとか譜面とかを超えたところにある音楽に力強い生命力を感じるに違いありません。
ハバナの個性的な町並みと、壊れかけたヴィンテージカー、そしてなにより働かない人々の映像と共に現れる音楽が、カーネギーホールでの熱狂のコンサートに集約して、つまんないと感じていたドキュメンタリーが不思議な感動をもたらします。
キューバ・ミュージシャンといえば、ゴンザロ・ルバルカバとアルトゥール・サンドバルくらいしか知らなかった私には、老人達が奏でる奇跡のようなこの音楽は衝撃的でした。
宇多田ヒカルが日本だけで700万枚のアルバムセールスを記録したとか、ビーズが400万枚(だったかな?)とかという事を考えると、この素晴らしい音楽が「世界中で150万枚のヒット」というほうが全く真っ当な気がします。