口パク


スティーリー・ダンの1999年復活ライブをエアチェックしました。


若者はもう知らない名前かもしれません。


まだ2-3曲しか聞いていませんが、カッコイイ。相変わらずカッコイイ。


彼らの事だからバックには超一流のミュージシャンを従えています。


なにより音のまとまりが素晴らしい。


リズム隊に数人のブラスセクション、三人のコーラスグループの大所帯でも音が団子にならずに、ギターのピッキングやドラムスのハイハット音までクリアに聞こえてきます。


反対に以前に見たスティングのライブでは、ベース(スティング)、ドラムス、ギター(一本)、エレクトリックピアノ(流行のたくさんのシンセサイザー類に囲まれるキーボードでなくたった一台のエレピ)の4人だけで驚くほど厚みのある音を創っていました。


パット・メセニーのライブを見たときには、ライブにも関らずレコーディングと変らない複雑な音創りを見事に再現していて吃驚したものです。


一方、日本では・・・・・少し前にある音楽評論家が「安室なみえはライブでもちゃんと歌っていて、ほとんどのミュージシャンがライブで口パクなのに対して素晴らしい実力だ・・・・・」と


ああ、頭痛くなってきた。


自分の音楽表現の最も重要な場であるライブで、口パクが当たり前ですと。


それを見て聴衆は皆で同じ動作で踊り、ノリノリで興奮するのです。


彼らが今作り出している音楽に感動しているのはありません。芸能人自身が動いているのをみてお祭り騒ぎをしているのです。


そう言えば、昨日見た「夏に出てくるグループ」のTVでの演奏は見苦しいほどの口パクでした。


以前にTV見たロックンロールの有名な方のコンサートは、音がバラバラで声が疲れ切って、音楽性のかけらも感じない、会場と本人だけがのっているウラ寒いものでした。(口パクじゃないけど)


15年も前の話ですが、マンハッタン・トランスファーのコンサートでは、2時間の熱演があってメンバー全員が肩で息をして汗びっしょりなのに、アンコールでアカペラの「ナイチンゲール イン バクリー スクエアー」を歌いました。緻密で完璧なハーモニーが必要な難曲です。


そいういうのをミュージシャン、アーティストと呼びます。


果たして日本で今人気の芸能人の中に何人のアーティストがいるのでしょうか?