ハタと手を打ったこと


「経済ってそういうことだったのか会議」(佐藤雅彦竹中平蔵


ベストセラーになった本です。


後半の一部にハタと手を打った・・・・というより「そうだよな」とうなずいた文章がありました。少々引用が長いですが、いちいちうなずく事なので。

「たとえば昔ビートルズが歌っていた名曲と言われるもは、最初はリバプールのアパートメントかどこかで、ふと口ずさんだ歌がレコードになり、ラジオの電波に乗って、世界中の人達を感動させて・・・・これからも未来永劫ずっとずっとあの曲はこの地球の上から消えずに歌われつづけていくわけですよね。そしてその結果的にそれはものすごく大きなビジネスになっていくわけですが、この時に生み出されるお金というのは順番として副次的な物のような気がするんです。そのように結果として優れたアーティストが、そうでないアーティストを駆逐してレコードやCDの売上を伸ばしていく。そういう競争はいいと思うんですよ。
 ところが、たとえば今の音楽業界を見ていると、プロデューサーは売れっ子のだれそれで、作詞作曲は誰で、歌はいま一番人気のあるだれだれに歌わせて、それを新しいテレビのドラマの主題化にして・・・・っていう具合に、記号的にこうやってこうやってやれば競争に勝ち抜けるっていう形とか計算のある場合が多いんです。音楽性とか関係なくて。


 で、ドラマの主題歌に決まると、打ち上げかなんかで盛りあがってるから、「どんな曲なんですか?」って聞くと、「曲はまだできてません」って言うんです。それでも実際、競争を勝ち抜いていくwけですよね。こうやって出来た曲は、百万枚、二百万枚と売れるんです。でも、三ヶ月後には飽きられて、中古市場に回ります。こんな悲しいことはありません」


そうだよなぁぁぁ。。。。


私が大きな声でよくいう「マーケティング」だけを感じる音楽、最近の若い人達が飛びつく音楽はみなそうです。


こういう音楽しか聴いていない若者の10年後は音のない潤いのない生活です。


理論でなく「匂い」でこの違いを嗅ぎわけなければ、市場の思う壺です。


料理も一緒です。


マーケティングリサーチがあって、売れ筋を探り、プロデュースもので作り上げられた店と料理は、ブームになってそのブームに乗っかっているのは気持ちよさそうな気がしても、何ヶ月後には飽きられ忘れられていきます。作り手の意志の高さは微塵も見えてきません。


料理の世界も、そういう形態に席巻されつつあるのが実態です。


人々は早く気がつかなくてはいけません。


マスに「これは美味しいんだよ」「こう言うのはトレンドなんだよ」と言われなくては美味しささえ自分で判断できない人だけになってしまいます。