カラオケ

この日記を一週間でも続けて読んだ方なら、板前の音楽好きはご存じのはずです。


かなり好きです。


が、
カラオケがダメです。


カラオケで無理矢理歌わされたことでさえもう十五年くらい前。


歌を口ずさむことはあっても、当時のカラオケの曲の中には、通して歌える曲などほとんどありませんでした。


大体、生来の音楽好きですから、自分が歌ったときの音程の悪さがいちいちよくわかる。かといって、修正すべくボイスコントロールができない。


つまり、まあ音痴ってぇことです。


加えてエエかっこしいですから、音痴の恥を人にさらしたくない。


もっとも、カラオケで人の歌を聴いている人はいないそうですから、悩むことはないのですが。


幸い、私の周りにはカラオケ好きは、今のところほとんどいません。実に好ましい傾向です。


初めてカラオケがスナックに蔓延し始めた頃、こんなものは一過性のブームだとタカをくくっていたのに・・・それから二十年、パチンコと同じくらい庶民に根付いてしまっています。


お客さまが、子供の6歳誕生日に「今日はどこへ連れていってもらいたい?」と聞くと、「カラオケ ボックス」と答えたと言われて唖然とした、と笑っておられた方がいました。


はたまた、幼稚園と小学生の子供を連れて、カラオケボックスに遊びに行くという主婦の話も聞いたことがあります。すでに、カラオケは遊園地と化している?


そうやって育った子が、宇多田の曲を難なく歌ったりするのでしょうか。


昔は、「おれの酌が飲めないのか!」と酒を無理強いする上司というのがゴロゴロいました。さすがに「おれの渡すマイクが握れないのか!」などという例は聞いたことがありませんが、歌わないことは気取ってると取られがちです。


修業時代、調理長と先輩二人に連れられて、カラオケスナックへいったことがあります。


その類のバーやスナックでは「お客さまも一曲どうぞ」と言うのが「おひとつどうぞ」と盃を勧めるのと同じご挨拶なわけで、モジモジ、クネクネ逃げ続けながらも、いよいよ仕方なく最後にモショモショッと歌ったのです。お開きになり帰り際、先輩に「お前、おやっさん(調理長)より後に歌うヤツがあるか!アホ!」と叱られました。


やっぱり、カラオケも暗黙の無理強いがあります。


カラオケ嫌いに歌わない自由を。一生懸命聞きますから。