横浜の小父さん

亡くなった遠い親戚の小父さんは明治生まれでした。


大手都市銀行の支店長の定年後、退職金で世界一周旅行をし(昭和30年代後半)、横浜の外国人の住居を買い取って生活をしていたというスーパーモダンな夫婦です。


初めてお家を訪ねた昭和30年代後半(小学校のころ)高度成長期とはいえ、庶民は貧しいのが当たり前の時代でした。


バラが沢山植わった広い庭
畳の全くない部屋
ベット
出窓
自家製のマーマレード
パンとバターとマーマレードを同じ厚さでぬる朝食
鶏肉のロースター(鳥を丸ごとくるくる回して焼く機械)
元町をぶらぶらするのに半ズボンがかっこいい小父さん


小学生とってはTVでみるゴージャスなアメリカそのもの。こんな生活を肩肘張らずに風が吹くように当たり前にしているのが、たまらなくかっこいい夢のような夫婦でした。


いまの日本ではこういうライフスタイルも、当たり前とは言わないもでも特別な夢ではなくなりましたが。アメリカやヨーロッパに憧れたように、こんな生活を夢としてするような目標もなくなってしまったような気がします。


小父さんの沢山あった趣味の中に「教会音楽の譜面を読む」というのがありました。


譜面を読む、のです。


楽譜を読みながら頭の中で音楽が鳴っているってわけです。


音楽に習熟した方ならともかく、こんなのかなうわけないジャン私に。


やっぱりかっこいい人はずーーーと憧れです。