実りを待つ季節
久しぶりにいいエッセイを読むことができました。
光野 桃「実りを待つ季節」
40代を迎えた女性が父と母、そして現在の自分と家族をかえりみながら綴った小編の数々です。
生活に追われ、その時々にいだく思いを反芻したり、自分の心の内を見つめることなど忘れてしまっている日々です。
「腹が立ったとか」「嬉しかった」「感動した」などという心の高ぶりは、ただの感情の起伏で終わってしまって、それを的確に表現することさえできません。
作家というのは自分の心の襞をこじ開け、過去さえ現在と照らし合わせて露わにしていきます。飾ることなく、卑下することなく。
彼女の文章を読んでいると、もしかすると自分にも物語があったのかも知れないと思います。
雑文とか日記とかいって、がさつな文章を当たり前としていては何も生まれません。
反省。