杜氏さんの移動


「常きげん」というお酒があります。
これまでそんなに注目されていた蔵ではありませんでした。

今年の常きげんは一躍スターになりかけています。
理由は杜氏さん
菊姫」の顔 農口尚彦杜氏がこの蔵に移ったのでした。


菊姫といえば石川県鶴来町の銘酒
地酒のブームを裏で支えたとも言える力のある蔵です。
底もの以外はほとんど兵庫県吉川町特A地区の山田錦を使用し
山田錦−9号酵母の王道のお手本のような、腰のある見事な酒を作り続けました。
(山廃造りも超一級です)
蔵元の強固な意志が酒の姿勢を貫いただけでなく
農口杜氏の存在というのは日本中の蔵人たちのあこがれでした。
さらに
菊姫では理科系の大学出身者を集め
農口さんの技術を数値化し
コンピューターにインプットするという試みもされていたようです。
菊姫のパンフレットにある農口杜氏の仕込み中の厳しい顔を見ると
「かっこいい!」「この酒ならうまそう」
と思ってしまうような風格のある方です。


その農口さんが菊姫を引退し
酒造りから身を引かれるのかなと思っていたら
「常きげん」に移られ
初年度でいきなり金賞。
先日手には入った大吟醸斗瓶囲いなどは
この地に回ってきた数も数本。
しっかりした味わいのパワーのあるお酒でした。


菊姫は「引退」「円満退社」であると聞いていたのですが
漏れ伝わるところによると
現蔵元との確執があったとか・・・


板前はどこまでもミーハーなのでした。