信頼関係は地産地消を越える


「親方、これ、たぶん手に入る鯖のベストの何本かだと思います」




三浦半島松輪の鯖です。


惚れ惚れする鯖であることは重々承知していたのですが、毎回いただいている鯖は松輪で捕れる鯖の中でも選りすぐり、この地へ送られてくる何本かのベストでした。




松輪漁港の魚たちはどれをとっても極上です。東京では「松輪の魚」だけで店が成り立つとも聞きます。


なにしろ漁師さん達のレベルが違うのだそうです。釣り上げられた魚はほとんど人の手に触れないように丁寧に丁寧に運ばれ、鮮度が維持されます。


料理人が違えば料理の美味しさが違うように、漁師の技術も魚に大きく影響します。


そうやって漁港に水あげされた極上たちが、どこへ出荷されるかは漁業組合担当者の胸先三寸で決まります。


信頼関係が強く結ばれた仲卸 魚屋にはよいいいものが運ばれます。


さらに、魚屋は毎朝仕入れに顔を出し、自分が仕入れた魚を大切により美味しく調理しようという料理人の元へと渡そうとします。


漁師〜漁協〜仲卸〜魚屋〜料理人


その流れはITで機械がつくるものではもちろんなくて、「信頼」の一文字でつながっています。


そうやって遠く浜松にまでやってきた松輪の鯖は最上なのです。


手に入れば必ず頂戴したい黒ムツも




こうじんめぬけも



さわらもかますもきんめも


手を合わせるように彼の地を思って使います。


地元の食材はもちろん大切ですが、信頼で手渡される極上達は地産地消を越えて私には大切な逸品です。