下準備


お客様がお越しになる頃には、お米が洗われ、水に漬け、ざる上げ、中村文夫さん作の竃に入れられて炊くばかりになります。



この日のご飯は鮎ご飯。気田川の天然鮎を白焼きにして骨と頭を抜き新生姜の千切りと一緒に炊き上げます。




先日あるTV番組で気鋭の若手料理人がお客様との話の中から献立を作り上げる・・・というお話が紹介されていました。


すっごいことです。


もちろん、仕込みの段階でできるものはある程度絞られているのでしょうが、創作能力の素晴らしさ以上に、20名近いキャパシティのお客様一組み一組にお話をしながら、もしくはお客様の食べ具合を判断しながら次の献立を考える・・・・私には200%不可能です。私ン処も同じくらいのキャパですが、たった四組のお客様だけでもお客様と話をしてから献立を考えていたら、おそらく激しく料理をお待たせしてしまうことになるでしょう。さらにその日に使い切ってナンボの高価な食材たちのロスも多大なものに。ご飯一つとっても美味しく召し上がっていただくためには、朝の仕込みの段階から献立を決定してやっと間に合うような仕事をしています。


あるいはTVで紹介されていた事実は一つの部分だけを誇張した形で現れていたのか?料理店としてのあり方はそれぞれですから何が正しくて、どういう手法がお客様に喜んでいただけるか・・・千差万別です。私ごときが四の五の言うべきではないかもしれませんが、メディアの表現方法のほうに問題があるのではないか・・・と感じてしまう番組でありました。