ヤナ性格
お客様になにげなく料理の感想を聞こうとするとき、「美味しかったですか?」とは口が裂けてもいえません。
「お口に合いましたでしょうか?」くらいが私の丁度いいところです。
「美味しかったよぉ」とお褒めの言葉をいただいたときも「お口にあったようでほっとしました」・・・ってな感じが私らしいです。
なんていいながら、実は、料理一つ一つ、お酒一つ一つに自信を持ってお出ししているつもりなので、心の奥底では小さなガッツポースとともに「どうだ!」と秘かに思うわけです。
別のケースで料理をお褒めいただいたときには「力のある素材を頂戴できれば板前はすることがありません。素材が自然に料理を美味しくしてくれますから」などと格好をつけて言ったりするのです。これって行き過ぎると昨今流行の「○○させていただく」という謙譲過多な言い回しとさして違いなくなってしまいそうです。
実際にはやっぱり心の奥底で「この素材の力を表に引き出しているのは地道な手間隙と年月をかけた技術のはず」といくぶん不遜で悪魔な言葉がよぎってもいたりします。
若い頃に親しんだ楽器はBass。ビックバンドのベースともなるとフロントにたって派手なソロをするわけでもなく、目立つドラムスのフィルインを入れるわけでもないとっても地味な存在です。この楽器のメンタリティというのが、実に前述の心持と似ています。大向こうに受けるわけではないけど、このバンドのグルーブ感を作っているのは俺。スウィングさせているのも俺。
表には出さないけど、バリアをはった自信が奥底にしっかりあったりして。。。ヤナ性格です。