1969-1970年代前半の音楽事情


先日、”FM放送で聴いたマービン・ゲイ「ワッツ・ゴーイング・オン」とドニー(ダニー)・ハサウェイ「ライブ」”に心が震えるくらい感動したことを書きました。


この二つが録音されたのは1970年代前半のことです。


年齢を経るにつれて、心が震えるほどの感動というのが次第に減ってきて、若いころの感性がなくなってしまった自分に頭を抱えていました。「音楽がなくては生きていけない」と語っていた若者が中年以上になって「生活の中のどこに音楽が?」くらいに鳴くのを忘れたカナリア状態でいる方も多いと思います。


幸い私の場合、聴くことへの情熱はまったく衰えてはいないと思っているのですが、若いころの感動がよみがえることは本当に少なくなっています。これを年齢のせいにしていたわけですが、もしかしたらちょっと違うのかもしれません。


私が毎日感動しまくっていた若いころ、つまり1960年代後半から1980年代にかけての音楽シーンそのものの躍動感が桁はずれであったのです。


大きなエポックは1969年。


ウッド・ストックが開催され、ビートルズは最後の輝きを放つ"LET IT BE"を録音し、Sly & The Family Stone The Temptations が大ヒットを飛ばし、Mails Davisはジャズの歴史を変えてしまう”ビッチェズ・ブリュー”を録音します。


1970年のアメリカのtop10を見ても
1.Bridge Over Troubled Water(明日に架ける橋) [Simon & Garfunkel]
2.I'll Be There [The Jackson 5]
3.Raindrops Keep Fallin' On My Head [B. J. Thomas]
4.(They Long To Be) Close To You [Carpenters]


サイモン・ガーファンクル ジャクソン5 「雨にぬれても」 「カーペンターズ」 すべてがいまだに語り継がれる曲ばかりが並びます。 


そのあたりに名盤マービン・ゲイ「イナー・シティ・ブルース」とドニー(ダニー)・ハサウェイ「ライブ」録音されるのです。


当時洋楽に興味のあった方ならわかるようにアメリカを中心にとんでもない名曲 名演がこの3-4年に目白押しで世の若者は熱狂していたのですね。私はまだ中学から高校生くらいで、ひたすらジャズばかり聴いていましたが、「ビッチェス・ブリュー」が現れ、ウェザー・リポートが結成され、「リターン・トゥー・エヴァー」が発売され、頭の中がパンクしそうになるほど心が揺れ動いていたのです。ジャズだけでなくほかの音楽にも目を向けていたら「世界が変わるかもしれない」とおもったに違いありません。


ちなみに2008年の世界的なヒット曲は・・・・思い出せません。知りません。興味ありません。


日本の若者は日本の曲しか知らず(それだけ成熟してきているともいえますが)・・・といっても10年後に同じ曲を繰り返し聴いているかといえば、明らかに”NO”です。


つまり、あの時代(1969-1970年代前半)に若い感性で触れらたこと自体が奇跡的であったのでしょうね。あんな疾風怒濤の時代がもう一度やってくるのでしょうか?やってきてほしいなぁ。