ダウト


公開時に観られなかった映画「ダウト」 休日にDVDで観ることができました。


メリル・ストリープ フィリップ・シーモア・ホフマン エイミー・アダムス ヴィオラデイビスの演技は圧倒的です。役者というのはここまで原作をくみとり、ここまで綿密で豊かな表現ができるものなのだと改めて驚嘆しました。


数シーンしか出番のないヴィオラデイビスでさえ、重要な場面であるメリル・ストリープとのかけ合いは、二人の揺れ動き変化する心情が胸に沁みこみます。さらにはワンショットだけで60年代の黒人女性のたたずまいが見て取れるのは役者だけでなく、すべてのスタッフの仕事の賜物なのでしょう。


一方wowowで観た「按摩と女」「山のあなた〜徳市の恋」の二作品。清水宏監督の「按摩と女」をリメイク・・・じゃなくてカバーした「徳市の恋」は、シーンごとに見比べると台詞はもちろんカット割りからアングルまでほとんどそのまま塗りなおした作品でした。映画館では鑑賞できない対比を楽しむことができました。


確かに名作といわれる「按摩と女」だからこそカバーという手法で焼き直し、現代の美しい映像ときめ細かな音楽表現(音楽は全く別です)で蘇らせたわけですが、「世界の亀山(千広)モデル」(<ライムスター宇多丸説)の一環として意味があったのかどうか?首を捻ります。


台詞、画面が同じでも、「按摩と女」の白黒画像で表現していた「東京の女」の匂いは「徳市の恋」はほとんど感じられません。脇役は比較的自由に演技していても主役の若い二人はせりふ回しまでコピーしているのに、「ダウト」のように役者の凄みは感じられません。当然ように「ダウト」で感じた満たされた満足感は皆無です。TV会社主導の剛腕マーケッティングは日本映画界をよりよい方向に導くのか?疑問です。でも「亀山モデル」お金は生んでるんですよねぇ。。。これが成功していれば亀山モデルに新たに「カバー」の手法が加わり何本も作られたんでしょう、きっと。