秋のお軸


床の間と季節のお軸のあるお部屋で食事をしたことって最近ありますか?


居酒屋さんやカウンター割烹がもてはやされ、掘りごたつ形式のお部屋でなければ居心地が悪いという風潮になって以降、床の間と季節のお軸とお花、お飾りがあるお部屋は激減しているかもしれません。


周りを見渡しても料理や器に凝る店は当たり前のようにあっても、お軸を季節ごとに変えている店が新しくできたというお話は聞いた覚えがありません。料理人にそういう素養が必要であると思っている若い板前は果たしてどれだけいるんでしょう?・・・と考えると、そんなことを後生大事にしているのこそ時代錯誤の骨董的人物と思われそうな気がします。


とはいえ、お部屋には床の間が必要で、お軸にも季節感が必要であることを当たり前に育ってきた私には、それらがないと何かお部屋に落ち着きが感じられませんし、一年中同じ絵がかかっているってのも興醒めな気がします。



秋のお軸は極端に手持ちが少ないのですが、今は高橋杏村(きょうそん)の秋夜景図。杏村は江戸末期の南画家です。