一極集中


どこかへ出かけるとなると、何はさておいても「どこで何を食べるか」のリサーチは私にとってとても大切です。何も調べないで行き当たりばったりで店を決めれば99%悲惨な目に会ってきました。


そんなことをよくご存じのお得意様から、「近々新宿近辺で食事をしなくちゃいけないんだけど、和食でお奨めは?」というお尋ねがありました。


「えーーーと、新宿で和食・・・?」


と考えてもホテルの高級和食以外には思い浮かぶ店が一軒もありません。私の知識が貧弱ゆえかと、信頼しているグルメサイトを主催する何人かの方を覗いても一軒もなし。


というか


お奨めの店自体が和洋中すべてを通してほとんど新宿にはなし。


あの日本でも有数の繁華街である新宿に・・・です。


んじゃ、ほかにお奨めは・・・といざ探すと、そのほとんどは麻布、青山、赤坂、銀座、四谷。この周辺でなければ店じゃぁないというくらいに近辺に集中しているのです。池袋でもなければ渋谷でもありません。美味しい店は東京にばかり集中する・・・ではなくて、東京のごくごく一部の地域にでなければ生息しえないといってもいいのです。


あの巨大都市、世界でも有数の食文化をほこる東京、といっても一種限定された村のように狭い地域にしかめぼしい店が存在しないというのは、改めて考えてみると異常なことのようにも見えます。人口比率からいえばこの田舎町に一軒でもお奨め店があることの方が奇跡ではないかとも思えます。


そうやって考えると地元に根付いて長い時間をかけて料理店を維持していくことの方が、東京で一発当てることよりも大切なような気もします。