黒澤の評価


黒澤明の「七人の侍」は、私的には好きな映画ベスト3のうちの一本です。何度見ても新たしい発見があり、何度見てもワクワク感が廃れない稀有な映画の一つです。


私が映画に親しむようになったころ、リアルタイムで始めて観た黒澤作品は「デルス・ウザーラ」でした。それ以降、「影武者」まで黒澤の新作に触れることは長い間ありませんでした。


没後十年を記念してBSでは黒澤全作品を放映してます。巷でもメディアでも「世界のクロサワ」と言ってはばかりませんが、「デルス・ウザーラ」を観たころ黒澤は、「羅生門」を取り上げて「世界のクロサワ」ではありましたが、今のように日本人が世界に誇る・・・というほどの高い評価ではなかったような気がします。あの当時「七人の侍」がハリウッドでリメイクされたことは有名でしたが、コッポラが、スピルバーグが、ルーカスが、ジョン・ミリアスが、スコセッシが尊敬してやまない・・・とまでの評価を日本人は知らなかったのです。巨匠ではあっても桁外れな予算と膨大なせいさく日数、日本での映画製作は無理な巨匠でした。それよりも小津、溝口の方に熱心な信者が多かったような記憶があります。世界のクロサワが「世界の」になるためには、海外での熱い評価のご信託が日本人には必要であったのでした。


とはいえ、私にとっては「世界の」であろうが「日本の」であろうが「七人の侍」への憧れは変りません。