ピカソ展


市立美術館「ルードヴッヒ美術館ピカソコレクション展」へ出かけてきました。最終日の日曜とあってそこそこの人手です。


展示は年代別におよそ100点近くの様々なピカソ。普通のアーティストなら100点が一同に会すればかなりの見応えがあって、「堪能した」といえるのですが、残念なことに相手はピカソです。一生の間に激しく作風が変わった上に膨大な作品群があるのです。さらに誰もが知っているように「何が書いてあるのかよくわからん絵」なのですから始末が悪いのです。


1980年ニューヨーク近代美術館ピカソ展」での感動を取り上げて「素人にはどれほど難解な作家でも、浴びるほどその作品を見続けると、少なくともその圧倒的なパワーに打ちのめされる経験が出来るものです。ゲルニカの実物とそれにまつわる数十枚の習作を目の前にすれば、理解できるとかできないとか以前に背筋がぞくぞくするような興奮が体の中から湧き上がります」と書いたことがあります。


私のような素人がピカソに打ちのめされるには数百点が必要なのです。百点ではわけのわからん絵の羅列でしかありません。子供たちはつまらなそうにウロウロし、一般客は解説と年譜ばかりを一生懸命読み(これがまた難しい内容)、最後の販売所においてあるひと筆書きのようなエッチングに○百万円・・・という値段を見てため息をつくだけ。絵を食い入るように見る人は少ないのです。結局「難しい絵がものすごく値の高い人」と感じて美術館を後にした人が多いのではないでしょうか。


あの四半世紀前のピカソ展は私にとってまさに奇跡の瞬間であったのだなと改めて実感したひと時でした。



それにしても、入場制限などしていないのに、入場者は最初から一点づつ並んでみると思い込んでいるのか入り口に行列ができていたのが不思議(会場半ばはゆったりしているです)。私はさっさと行列をパスして入り込み前後左右空いている場所をズンズン見られました。まっ、この地の人々のお行儀がいいってことなんでしょうね。