[映画] フライト・プラン


ジョディー・フォスター主演「フライト・プラン」を観てきました。



ベルリンで夫を事故で失った航空機設計士(ジョディー・フォスター)が、祖国へ帰るために夫の棺とともに自らの設計した航空機に幼い娘と搭乗します。転寝(うたたね)から起きると娘の姿が見あたりません。席の周りの乗客も客室乗務員も娘の存在自体に気づいていませんでした。密室空間の中愛する娘はどこへ?誰かの策略なのか?誘拐事件なのか?夫の突然の死のショックのために精神に変調をきたしているのか?実は娘は一緒に搭乗していないのか?


この映画はフォスターの演技に魅入る映画です。映画館の予告でこれまで何度も「密室空間でいなくなった娘」のシチュエーションを見ていて、一時間半という普通よりも少々短い時間の中で、謎解きがつまらないものだとしたら大好きな女優のイメージが台無しになってしまうのではないかと、若干躊躇しつつ映画を見始めました。


ところが映画が進むうちにジョディー・フォスターの迫真の演技と演出で、観客のほとんどは「夫の死と娘の死を受け入れられない精神の破綻した女性である」という考えに偏っていきます。予告で考えたいくつかの謎解きへの答えは簡単に精神破綻者に行き着いてしまうのか。予告ではあれだけ気を持たせておいて、あっけないエンディングなのか。だから90分で結末・・・と思い始めると、ある一瞬のシーンからジョディーの表情がかわります。娘の失踪にうろたえすべての乗客が信じられなくなった不安な母親から、娘の失踪の確信と強い意志をもった母親へ。その変化が見事です。


考えてみるとジョディーがああいうハリウッド的ヒーローで終わる映画というのも珍しい気がします。しかし、それでもどういうエンディングでも、ジョディーはクール、スマート、ビューティでファンの心を惹きつけて止みません。好きだな、ジョディー・フォスター。彼女の場合素顔もクール、スマート、ビューティだと思い込んでしまうほど単純に彼女の魅力の虜です。


[読書] 備忘録として


角田光代「この本が、世界に存在することに」

角田さんという作家は本当に真面目に真面目に作品に取り組む人なんだなという印象が隅々にまで行き渡っている短編の数々。角田ワールドが益々好きになります。


藤原正彦「国家の品格」

大ベストセラーをベストセラーのうちに読んだ事はずいぶん久しぶりかもしれません。大概の場合あまりに売れている本はちょっと引いてから眺めるのが通常です。大ベストセラーを浮かれて読むのはかなり恥ずかしいと思っていた私ではありますが、まっ、間がさしたというのでしょうか。とはいえ、この本は売れている今読むべき本であります。内容も今、タイムリーな今を書いている部分が多くあります。後で振り返るよりは今、がいいのでしょう。講演を書き起こしたせいか、文章が平易であっという間に読み終えてしまうのですが、論理を追求する数学者の言葉が「日本人の情緒を復活せよ」であることが新鮮で思考回路が単純な私には入り込みやすい主張でありました。このところ、新書のベストセラーがやけに多いのが気になります。昔は新書というと素人の入門版・・・でもちょっとハードルが高いという印象があったのですが。。。