中国人の日本人感


チャン・イーモー監督の作品映画に出演する高倉健を描いたドキュメンタリーを録画してあって見ていました。場所は中国の内陸部の田舎町。


インタビューに答えた中国人は「映画(中国の)でしか知らない日本人は残虐で冷血な人種だと思っていました。イメージがちょっと変わったのは”遥かなる山の呼び声”で見た高倉健からです」


中国の映画で描かれる日本人は戦争中のお話、中国側から見た傍若無人で残忍な日本人。日本に対する情報量など皆無に等しい中国で、上映された数少ない日本映画の一つが「遥かなる山の呼び声」だったようです。


中国の教科書で書かれる日本への歴史認識の一方的なことは報道されていますが、中国人の日本人感が映画でこんな風に出来上がっていることは全く知りませんでした。確かに日本人の韓国人に対するイメージだって、「冬のソナタ」一本で劇的に変わりました。政府や報道機関がどれほどの大きなキャンペーンを繰り広げるよりも、俳優一人の人気のほうが影響力があるのです。


中国政府の戦略的な日本の歴史認識攻撃の一つ一つにおどおどしたり、メディアが騒ぎ立てるのことに敏感になるよりも、良質な日本映画一本を公開するための運動をすることのほうが早道なのかもしれません。中国政府にとっては歴史認識も教科書問題も靖国も手の内にある外交戦略の引出しの一つにすぎないのですから。