富山旅行


フレンチ”L'evo" 谷口シェフの料理は、現代のフレンチの突先を走っている皿の連続でした。


地元の食材を掘り起こし、ともに育むことから始まり、工芸の街であることを活かした器やテーブルまで、地方性を最大限に活かしています。


地産地消なら地方の名店はみな取り組んでいるのでしょうが、谷口さんの力量は食材の組み合わせの妙でいかんなく発揮されます。


ばい貝に山独活 岩牡蠣にまくわ瓜と玉蜀黍 穴子に三種類の調理方法の白アスパラ バージンエッグに甘口ワイン  特別飼育の鳥に赤いか  うりぼうに野菜 西瓜にゼラニウム 葡萄に酒粕


予想もしない取り合わせが次々と続き、驚きの盛りつけで現れるのです。



谷口さんの修行先を聞けば、今の仕事が修行先のコピーからはまったく解き放たれていることがわかります。


若くして、地方で、この力。


思い返せば、大都市以外の地方でこのような驚きと感動を味わったのは、私の少ない経験でしか言えませんが、高橋調理長全盛期の伊勢志摩観光ホテルと、通った小田原時代の成澤さん以外に思い浮かびません。


経験値の積み重ねだけでは到達できない圧倒的な力をみせつけられた料理達でした。




宿泊とディナーの前後に伺ったのは、L'evoでも使われている器を制作している作家お三人のアトリエ二カ所です。


最初の二人は静かで絶景の山の斜面に工房を構える下尾さんご夫妻です(訪問には予約が必要です)


タモの木を使った作品の数々は、木と言えば輪島塗りくらいしか使ってこなかった私には刺激的なものでした。


シャープな造詣の家具と木目を活かした繊細な器の数々。


大概の和食器は見れば献立を盛り込む絵が想像できるのですが、下尾さんの器は私にはかなりハードルが高い 難しい器です。


谷口シェフのようにこの器を使いこなせるようになったら、一つ違うステージで勝負ができるのでしょうが、少しばかり固くなった頭をほぐしてかからなければ常時店のラインアップに載せることができそうにありません。


とりあえず。。。と二枚の器を頂戴し、ジタバタしてみます。




同じように、L'evoで使われている陶芸 釋永岳の処も伺ってきました。


彼の器も古くさい私の頭には刺激的ながら難しい。


岳さんの器は浜松で行われたeventですでに料理を盛らせていただいているのですが、器を目の前にして絶句すること度々でした。


いつか彼の器をモノにしてみたいものです。


この年齢になって、まだこういう若い力を刺激に思えるだけ、いい環境にいられるのだな。。。と感謝できます。


岳さん 下尾さん ちょっと待っててね。