紙パック酒


紙パック2L 3Lのお酒の出荷率はどれくらいか、ご存じでしょうか?


2010年の調べでは市場全体の36%が紙パック酒なのだそうです。


「大手が日本酒をダメにした」「戦前は純米酒だけだったのに三増酒のおかげで日本酒が堕落した」とお嘆きの諸兄が聞いたら憤然となさるかもしれません。


36%もの紙パックのお酒は、日本人を舌をだまして儲けのために造られているわけではありません。


市場が欲しているから造られるのです。


ビールは麦とホップだけで造られるべきである!とどれだけ主張しても、実際に売れているのは発泡酒であり第三のビールであるように、「ホンモノを飲め!」と言われても、「俺たちこれでいいもん」という方々もたくさんいらっしゃるのです。


業界のど真ん中にいて、極上のお酒を飲まれる方々に日々接していると、36%という数字は私にも信じられませんが、理想と現実の差はこれなのです。


では、
本醸造 純米酒 吟醸酒 大吟醸酒 と区別される特定名称酒(大まかに言えば今人気の。。。と思われている上質なお酒)は清酒全体の何%くらい生産されていると思われるでしょう?


実はこれもおおよそ36%くらいと言われています。


つまり日本酒の6割から7割はいまだに普通酒(という区分は今はないのですが)なのです。


日本酒通が「ダメなお酒」と特定するお酒がこれだけ流通しています。というか、欲しがられているのです。


つい最近の米国の世論調査ではトランプ大統領の支持率は36%だとか、「あのトランプが!」と未だに信じられないような選択をした米国民は、半年経っても36%の国民が「トランプを応援しよう」と言っているわけです。36%あれば再選も可能なのだとか、私にしてみれば悪夢としか言いようがありませんが、国民の選択なのです。


全く同じパーセンテージで「あんなまずい酒を飲むなんて信じられない」と日本酒通が思うおうが支持はされている事実を直視しなければなりません。


反面、世の中には選んだいいお酒だけを扱っている酒販店も、特定銘柄酒だけを造っている蔵もたくさん存在しています。因みに静岡県ではほとんどの蔵が特定銘柄酒のみを生産しているのだとか(ちょっと誇り)


そして、世紀始まって以来今ほど上質な日本酒が造られている時代もありません。


本当に上質な日本酒を望んでいる方々は、他者を批判の目で見るよりも、いいお酒を造る蔵と、それを扱う酒販店 料理屋をたっぷりと応援することだけをしていきましょう。


人はいつもごく狭い自分の周りだけで世の中を理解し、狭い世界がすべてであるように錯覚してしまいます。


目を広げて隣を見ながらも、批判するよりは自分の幸せな部分をより広げる小さな努力をすべきなのかもしれませんね。